MR-6000のドライアイオプションでは、下眼瞼を拡大撮影することで「涙液メニスカス」と「マイボーム腺」の両方を評価できます。
でもそれぞれ見ているポイントも、目的もまったく違います。
同じように見えて、実は“全然別の検査”なんです。
▶ 涙液メニスカス ― 涙の「たまり具合」を見る
下まぶたと角膜の接する場所にできる、涙の“水たまり”のようなライン。
それが涙液メニスカス(tear meniscus)です。
TSASで涙の「質」を評価したのに対して、こちらは「量」の指標。
メニスカスの高さを測ることで、涙の分泌量を推定します。
- 高さがある:十分な涙量がある
- 高さがない:涙の分泌不足か、蒸発が多い可能性
ドライアイの原因が「涙の不足型」かどうかを見極めるために重要です。
▶ マイボーム腺 ― 油の「工場の状態」を見る
一方、マイボーム腺はまぶたの中にある油の分泌器官です。
特に上下のまぶたの縦方向に走る白い線状の構造を観察します。
MR-6000では、下まぶたを軽くめくって赤外線で透過観察することで、腺の本数・長さ・形・詰まり具合を評価できます。
- 本数が減っている → 萎縮・消失している
- 途中でちぎれている → 慢性的なマイボーム腺機能不全
- 開口部が詰まっている → 油が出ない状態(ドライアイのリスク)
つまりこちらは涙の「油分の製造工場」がちゃんと働いているか?を見る検査なんです。
▶ 同じ「下まぶた」でも、目的はまったく違う
項目 | 涙液メニスカス | マイボーム腺 |
---|---|---|
何を見る? | 涙のたまり(高さ) | 油を出す腺の構造・状態 |
評価するもの | 涙の量(水分) | 涙の質(油分) |
主な意義 | 涙の分泌量の目安 | 油分不足や蒸発亢進のチェック |
▶ まとめ
どちらも下まぶたを観察しますが、涙の「量」と「質」、まったく別の側面を評価しています。
ドライアイのタイプを見極めるには、両方をセットでチェックすることがとても重要です。
「ちゃんと涙は出てるのに乾く…」というケース、それはマイボーム腺のトラブルが潜んでいるかもしれません。