視野検査と並んで緑内障診療の柱となるOCT。
中でもRNFL(網膜神経線維層)解析は非常に重要な項目ですが、その評価において意外と見落とされがちなのが、視神経乳頭(Disc)の面積です。
RNFL厚の正常範囲は「正常眼データベース」との比較で判定されますが、この比較にはDiscの大きさが基準として使われています。
なぜなら、RNFLの厚みは病的な変化の前に個人差が大きく、とくにDiscの大きさに強く影響されるからです。
たとえば、Discが大きい人は神経線維が多く、RNFLも厚めに出やすい。
逆に小さいDiscを持つ人は、生理的にRNFLが薄めです。
ここでサイズ補正をせずに一律で判定すると、「異常」と誤判定されるリスクが高くなります。
さらに興味深いのは、このDiscサイズに人種差があるという点。
アフリカ系の方は一般にDiscが大きく、アジア系は中間、欧米系はやや小さい傾向があります。
こうした違いを反映するため、OCT装置の正常眼データベースも人種ごとに分類されていることが多いのです。
RNFLレポートを見る際は、厚みの色だけでなくDisc面積(例:1.60 mm²など)にも一度目を向けてみてください。
その「基準」がどんな比較から導かれているのかが見えてくると、OCTはぐっと読みやすくなります。