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黄斑ってどこからどこまで?「だいたい5〜6mm」の正体とは

「黄斑(macula lutea)」と聞くと、網膜のど真ん中にある“視力の要”という印象がありますが、
「じゃあ黄斑の範囲って正確にはどこ?」と問われると、意外と説明が難しいのが実情です。

多くの資料では「直径5〜6mm」とされていますが、これは解剖学的に明確に線引きされた範囲というより、
“このあたりの構造と機能が特に濃いよね”という意味で便宜的に決められた範囲です。

中心窩と黄斑は違う

まず、混同されがちなのが「中心窩(フォーベア)」と「黄斑」の違いです。

  • 中心窩:直径約0.35mm。視細胞(特に錐体細胞)が最も密に集まり、視力の中心を担う“ピンポイントな領域”。
  • 黄斑:直径5〜6mmほど。中心窩を含み、色覚・解像度の高い視覚情報処理を担う“ゾーン”。

「中心窩の周辺も、まだ錐体が多くてよく見えるから、まとめて黄斑と呼んじゃおう」
というのが、黄斑の立ち位置です。

黄斑の定義は、構造と機能に基づく

実際に黄斑は、以下のような観点から便宜的に定義されています:

  • 黄斑色素(ルテイン・ゼアキサンチン)が豊富に存在するエリア
  • 内顆粒層が2層以上存在している
  • 錐体細胞密度が高い

このような要素を踏まえて、だいたい「中心窩を中心に半径2.5〜3mm(直径5〜6mm)」という表現が使われているわけです。

曖昧だからこそ、ざっくり理解でOK

教科書で「黄斑=5〜6mm」と書いてあると、「なぜそんな中途半端な数字?」と思うかもしれませんが、
それは「黄斑が図形的な“領域”というよりも、機能的に重要なゾーン」だからです。

構造・機能が高密度なエリアをざっくり囲って「黄斑」と呼んでいるだけなので、
あまり厳密に「どこからどこまで」と考えすぎる必要はありません。

まとめ

黄斑は「中心窩を含む、視機能が濃いゾーン」。

図形的な厳密さよりも、構造と機能の“密度”でとらえるのがコツです。

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