ICG(インドシアニングリーン蛍光造影)は、脈絡膜の病変を評価するための蛍光造影検査です。
FAと似たように蛍光色素を使いますが、見えている世界はもっと深いところ。
見えているのは「脈絡膜の血管」まで!
ICGで見えているのは、FAでは見えないRPEより奥にある脈絡膜の血管です。
これは、使っている色素(インドシアニングリーン)が赤外線で励起・撮影されるため、RPEや血液のフィルターをすり抜けて深部の血管まで届くからです。
つまり、網膜の下の構造――特に脈絡膜の中大血管レベルまでしっかり観察できるのがICGの特長です。
OCT-Aと比べると?
OCT-Aでも脈絡膜の浅層(主に脈絡膜毛細血管層)までは見えますが、脈絡膜中層以深の中大血管まではカバーしきれません。
※SS-OCT(スウェプトソース光源)を使った機種の場合はICG領域の血管構造を見ることができます。→[OCT-Aってどこ見てるの?─SDとSSで違う「見える層」]
一方、ICGでは脈絡膜全体(特に中大血管)を動的に観察できるため、ポリープ様病変(PCV)や脈絡膜新生血管の詳細な評価にはICGの方が優れています。
項目 | ICG | OCT-A(SS) | OCT-A(SD) | FA |
色素 | インドシアニングリーン | なし(非侵襲) | なし(非侵襲) | フルオレセイン |
観察対象 | 脈絡膜中〜深層の血流 | 内顆粒層あたり〜強膜直前 | ILM〜脈絡膜浅層 | 網膜の浅層〜中層の血流 |
得意な領域 | 脈絡膜血管病変 | 網膜〜脈絡膜膜までの血管構造 | 網膜血管の層別構造 | 網膜血管障害 |
まとめ:ICGの描出範囲はここ!
- 描出されるのは脈絡膜の中層〜深層血管
- FAでは見えない領域を赤外光でカバー
- 脈絡膜新生血管やPCVなどに強み
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