白内障手術では通常、水晶体嚢内にIOL(眼内レンズ)を挿入しますが、嚢の損傷や支持組織の欠損などにより、水晶体嚢外にIOLを固定する必要が生じることがあります。
その一つが強膜内固定法です。
強膜内固定は手技の頻度が少なく、いざ必要となった際に物品準備で手間取ることがあります。
本記事では、3ピースIOLを用いた強膜内固定に必要な物品を一覧化し、選定のポイントを解説します。
必要物品一覧
3ピース眼内レンズ(興和社・参天社)
- 水晶体嚢外固定用のIOL
- ループ材質が強膜内固定に適したモデルとして、興和社「アバンシィ」、参天製薬「エタニティ」が一般的
→[3ピース構造(支持部と光学部が別素材)の眼内レンズ比較と性能の違い]
ニードルガイド または キャリパー
- IOLループの固定位置決定に必須
- 高精度な位置決めで術後安定性を確保
スカーレットニードル(30G)
- ループをしっかり把持して引き出すための針
- 適度な剛性と先端形状が重要
ホールディング鑷子
- IOLループのコントロールに使用
- 滑りにくい先端加工が望ましい
アキュテンプ
- ループ端を熱で丸め、強膜内での安定性を向上
- 過熱によるループ損傷に注意
まとめ
強膜内固定法は、白内障手術における予期せぬ嚢支持不全やIOL位置異常への有効な対応手段です。
ただし、手技の頻度が少ないため物品準備の即応性が成功率を左右します。
本記事で挙げたリストを院内マニュアルに組み込み、緊急時にもスムーズな対応ができる体制を整えることが推奨されます。