OCTとは?
OCT(Optical Coherence Tomography:光干渉断層計)は、網膜や視神経の構造、さらには網膜血管まで可視化できる画像診断装置です。
眼科では、黄斑疾患や緑内障の診断・モニタリングに広く活用されています。
CIRRUS OCTとは?
CIRRUS OCTは、ZEISS社が提供するOCTの代表機種です。
高精細な網膜構造の描写に加え、視野計(Humphrey Field Analyzer)との親和性も高く、緑内障診療においてスタンダードな解析を実現します。
PanoMap解析とは?
PanoMap(パノマップ)解析は、視神経乳頭解析(ONH・RNFL)と黄斑部Ganglion細胞解析(GCA)を一体化したレポート形式です。
CIRRUS OCTでは片眼ずつの解析となりますが、視神経から黄斑部にかけての構造変化を視覚的に統合表示できる点が特徴です。
PanoMap解析の構成内容
黄斑部/視神経乳頭LSO眼底画像
OCTのナビゲーション用画像として、黄斑部と視神経乳頭部のLSO(Live Scanning Ophthalmoscope)画像が統合表示されます。
各部位のThickness Map(厚みマップ)もオーバーレイされ、直感的な構造確認が可能です。
RNFLとGCAのディビエーションマップ
神経線維層(RNFL)とガングリオン細胞複合体(GCA)の各ディビエーションマップを横に並べて比較表示します。
異常部位の視認性が高まり、緑内障などの早期変化をとらえやすくなります。
GCA解析のカラーマップ
GCA(GCL+IPL)の6分割カラーマップが表示され、各領域の平均厚がカラーで示されます。
正常データベースとの比較により、統計的異常値も確認できます。
RNFL厚に関する解析
視神経乳頭に関する定量データ
- 視神経乳頭面積(Disc)
- リム面積
- 平均C/D比
- 垂直C/D比
- カップ体積
- 平均RNFL厚
- 上方RNFL厚
- 下方RNFL厚
※ONH・RNFLレポートに表示されない数値を色で表示しています。
特に、RNFL厚の一周プロファイル(TSNIT)は、ONH・RNFLレポートと同様に重要な指標です。
→[RNFLサークルの断層像ってなに?“ぐるっと一周”の不思議な画像を読み解く]
Macular Thickness(ETDRSグリッド)
黄斑部の網膜厚は、ETDRSグリッド(9分割)に従って表示されます。
中心窩から周辺部にかけた厚みの分布を定量的に確認でき、黄斑疾患の評価に役立ちます。
→[ETDRSグリッドって何?──眼科OCTレポートでよく見るアレの正体]
まとめ
PanoMap解析は、CIRRUS OCTを用いた構造的評価を“視神経”と“黄斑”の両視点から統合的に把握できる優れた機能です。
臨床で見慣れない画面が出てきた際も、構成と目的を知っておくだけで解釈がスムーズになります。