眼科における基本的な測定機器である「レフラクトメータ」「ケラトメータ」「トノメータ」。
これらを1台に集約したのが、ニデック社が誇るオートレフシリーズの最新機種 TONOREFⅢPlus です。
本記事では、TONOREFⅢPlusに搭載された追加機能を中心に解説します。
レフラクトメータ関連機能
ラージピューピルゾーン測定
通常のレフラクトメータは、瞳孔中心の約3.5〜4.0mmの範囲で測定を行いますが、TONOREFⅢPlusでは 最大6.0mmの測定エリア に対応しています。
この機能は、多焦点眼内レンズ(IOL)で中心・周辺の屈折力の違いを評価したり、オルソケラトロジーのように角膜周辺の屈折変化が重要なケースで有用です。
クイックレフ測定機能
撮影条件の緩和により、 短時間での測定が可能 となるオプション機能です。
固視が難しい患者や子ども、高齢者でも測定しやすくなります。
ただし、繰り返し測定時の ばらつきが生じやすい 点には注意が必要です。
アコモドメータ(調節力測定)機能
調節力を動的に評価できるこの機能では、+0.5Dからスタートし、徐々に近用刺激を加えます。
片眼あたり最大30秒間測定され、調節反応が確認できない場合は自動的に終了します。
近見視力の自覚訴えや、調節麻痺との比較評価に活用できます。
レトロイルミネーション撮影機能&Cataract Index
徹照像から眼内混濁の状態を撮影・評価し、混濁を定量化します。以下の3つの指標で数値化されます。
- COI.H:中心部の混濁の高さ(縦方向/mm)
- COI.A:中心部の混濁の割合(%)
- POI:周辺領域の混濁の割合(%)
これにより、白内障の進行度の記録や、手術適応判断の補助として活用が期待されます。
KKI(Keratoconus Keratometric Index)
円錐角膜のスクリーニング指標となるKKIは、一定の数値を超えると黄色表示で警告されます。
早期発見・経過観察の目安として、視力矯正が難しい患者の背景を探る手がかりになります。
より詳しく器械的な判断をする場合にはこちらの器械と機能をご活用ください。→[CASIA2のエクタジアスクリーニングとは?円錐角膜を見逃さないOCT解析の特徴を解説]
まとめ:TONOREFⅢPlusは「測定+評価」の次世代機器
TONOREFⅢPlusは、単なるオートレフにとどまらず、視機能や眼の透明度・角膜形状までを1台で評価可能なオールインワン機器です。
日常診療の効率化に加え、患者の自覚症状と客観所見のズレを埋めるツールとして、眼科における導入価値は今後ますます高まるといえます。