白内障手術において、フェイコマシン(超音波水晶体乳化吸引装置)は手術の成否や安全性を左右する重要な医療機器です。
本記事では、国内で使用されている主要なフェイコマシン4機種(アルコン、AMO、ボシュロム、ニデック)を比較し、それぞれの特徴や性能の違いをわかりやすくまとめました。
「今使っている機種に不満がある」「導入予定で比較検討したい」といった方は、ぜひ参考にしてください。
アルコン社 白内障手術装置センチュリオンビジョンシステム+アクティブセントリーハンドピース

引用:日本アルコン株式会社 ホームページ
※画像から公式ページを確認できます。
モデル | CENTURION VISION SYSTEMwithACTIVE SENTRYハンドピース |
灌流/吸引モード | |
超音波発振 | Ozilトーショナル発振(楕円形縦発振) |
ビトレクトミーモード | サイズ:23G |
灌流方式 | 加圧、重力またはActiveFuluidicsテクノロジー ※ActiveFuluidicsテクノロジーはBSSバックを2枚の板で挟み込むことで加圧調整する独自システムです。 |
特徴は以下のとおり:
- Ozil(楕円形縦発振)ではストレートチップに形状が近いBalancedTip(バランスドチップを使用できます。
- 「ActiveFuluidicsテクノロジー」は眼内圧の変化を補正します。
- 専用の「ACTIVE SENTRYハンドピース」はより早く眼内圧の変化を検知して「ActiveFuluidicsテクノロジー」を作動させます。
AMO社 超音波水晶体乳化吸引システムベリタスTMビジョンシステム

引用:エイエムオージャパン株式会社 ホームページ
※画像から公式ページを確認できます。
モデル | VERITAS TM ビジョンシステム |
灌流/吸引モード | ペリスタルティックポンプ(0~650mmHg) ベンチュリーポンプ(0~600mmHg) |
超音波発振 | WHITESTAR Technology(横方向を加えた超音波発振) |
ビトレクトミーモード | カットレート:50~2500cpm サイズ:20G、23G、25G |
灌流方式 | 加圧または重力 ※消耗品により選択 |
特徴は以下のとおり:
- ペリスタルティックポンプとベンチュリーポンプ両方を搭載しており、場面によって使い分けることができます。
- ビトレクトミーモードでは25Gのカッターを使用することができます。
- 灌流方式の「加圧」では高い灌流圧を設定することができます。
ボシュロム社 ステラリスエリートアンテリアシステム

※画像から公式ページを確認できます。
モデル | Stellaris Elite Anterior |
灌流/吸引モード | ロータリーベーンポンプ(I/A:0~600mmHg,US:10~600mmhg) |
超音波発振 | (縦発振のみ) |
ビトレクトミーモード | カットレート:30~2500cpm サイズ:20G、23G、25G、27G |
灌流方式 | 加圧または重力 ※消耗品により選択 |
特徴は以下のとおり:
- ロータリーベーンポンプを採用した器械です。
- ビトレクトミーモードでは25G・27Gのカッターを使用することができます。
- 灌流方式の「加圧」を選択することができます。
ニデック社 白内障手術装置Cubeα CV-9000

引用:株式会社ニデック ホームページ
※画像から公式ページを確認できます。
モデル | CV-9000 |
灌流/吸引モード | ペリスタルティックポンプ(0~700mmHg) |
超音波発振 | トーショナル(ねじれ振動) |
ビトレクトミーモード | カットレート:100~1000cpm サイズ:25G |
灌流方式 | 重力 |
特徴は以下のとおり:
- ビトレクトミーモードでは25Gのカッターを使用することができます。
- 超音波発振パターンの縦振動とねじれ振動の強さをそれぞれ調整できます。
- 専用の「Gyroハンドピース(US)」がねじれ振動を可能にし、核破砕能力を高めます。
まとめ
フェイコマシンは、メーカーによってポンプの種類や超音波の発振方式、灌流方式などに大きな違いがあります。
選定の際は「使用感」「灌流の安定性」「ハンドピースの使いやすさ」など、実際の手技との相性も重要です。
どの機種にも独自の強みがあるため、実機のデモや使用感を確かめたうえで、自院の手術スタイルに最も合った装置を選ぶことをおすすめします。