角膜トポグラフィーといえば、角膜の形状をマップ化し、乱視や角膜疾患の評価に活用される検査です。
従来の機器では角膜前面のデータが中心でしたが、トーメー社の前眼部OCT「CASIA2 Advance」では、角膜の前面・後面・前後面の解析を高精度に実現しています。
本記事では、CASIA2に搭載されたトポグラフィー解析の仕組みや、出力される各マップ・パラメータの意味について解説します。
→[前眼部OCT「CASIA2 Advance」の検査項目と表示結果を徹底解説|白内障・ICLに強い理由とは?]
CASIA2のトポグラフィーとは?
「CASIA2 Advance」は、前眼部OCTとして撮影した断層画像から角膜形状を三次元的に再構成し、角膜前面・後面・前後面の状態をそれぞれマップ化できます。
従来のトポグラフィー(プラチドリング方式など)では、主に角膜前面のみを対象としていましたが、OCTベースのCASIA2では後面や全層厚も解析可能です。
そのため、ICLの術前評価や角膜疾患のスクリーニングにも活用されます。
→[トポグラフィーの“八の字”は何を見てる?フーリエ解析との違いとは]
出力されるマップ一覧
マップ名 | 内容 | 主な用途 |
角膜前面 | 表面のカーブ・傾きの情報 | 正乱視・不正乱視の評価 |
角膜後面 | 裏側のカーブをマッピング | 角膜内皮変性や円錐角膜の早期検出 |
角膜前後面(Real) | 両面を統合した実質的な形状 | 高次解析・ICL術前後の比較 |
角膜厚(パキメトリー) | 局所的な角膜厚をマッピング | 角膜薄化、円錐角膜評価など |
※マップは色の分布で形状の起伏を可視化しており、正常な角膜では「八の字」パターン(正乱視)が前面マップに現れることが多いです。
出力される主なパラメータ
パラメータ | 意味 | 単位 |
Keratometric | 前面の屈折力、K値 | D(ジオプター) |
Posterlor | 後面の屈折力(負の数で表示) | D |
Real | 前後面の実質的なトータル形状 | D |
h.Pacymetry | 角膜厚の最薄点や中心厚 | μm |
Pupil D | 瞳孔径 | mm |
ACD | 前房深度(角膜裏面〜水晶体前面の距離) | mm |
ESI | 角膜内皮面の不正形状(Endothelial Surface Irregularity) | % |
特にESIは不正乱視の指標として注目され、10~15%未満が正常範囲、20%以上で異常傾向と判断される場合があります。
まとめ
CASIA2のトポグラフィー機能は、従来の機器では得られなかった角膜後面やトータルな角膜形状の情報を高精度に提供してくれます。
これにより、乱視の質的評価から円錐角膜の早期発見、さらにはICL術前後の適正評価まで、幅広い臨床応用が可能となっています。
今後の記事では、円錐角膜スクリーニング機能(エクタジア)など、CASIA2特有の強力なアプリケーションについても解説していきます。