硝子体手術で使用されるILM鑷子(鉗子)は、術者それぞれの好みや手技に応じて選ばれることが多い器具です。
実際に使ってみると、カタログスペックではわからない使いやすさに気づくこともあり、器具選びは非常に奥深いものです。
しかし選択肢は多岐にわたり、初めは「とりあえずアルコン製?」となってしまうことも少なくありません。
この記事では、そんなILM鑷子(27G)をチップ形状別に整理し、各メーカーの製品と特徴をわかりやすくご紹介します。
ILM鑷子とは?
ILM鑷子は、網膜表層に存在する内境界膜(ILM: Internal Limiting Membrane)を剥離するために使用される、硝子体手術専用の鑷子です。
非常に繊細な操作が求められるため、チップ形状やシャフトの設計には各メーカーがさまざまな工夫を凝らしています。
また、その操作性の高さから、ILM剥離だけでなく眼内の各種マニピュレーションにも応用されることが多くなっています。
チップ形状別の分類と特徴
ILM鑷子は、主にチップ先端の形状により分類することができます。
以下、それぞれのタイプについて簡単に解説し、代表的な製品を表にまとめます。
スタンダードタイプ
最もオーソドックスな形状です。
ILMを掴んだり、引き剥がしたりする標準的な操作に適しています。
迷ったらこのタイプから選ぶことが多いでしょう。
マックスグリップタイプ
チップ先端が丸く、接地面積を増やして膜をしっかり把持できるよう設計されたタイプです。
滑りやすい膜でもしっかり掴めるため、特にILMが薄い症例などで好まれます。
非対称(エイシメトリカル)タイプ
チップが左右非対称になっており、膜を引っかけやすい設計になっています。
まとめ
27GのILM鑷子は、スタンダードなものから特殊設計のものまで多彩なバリエーションが存在します。
選ぶ際には、自分の手技や好みに合うかどうかを意識することが重要です。
まずは標準タイプから使用してみて、慣れてきたらマックスグリップや非対称型など、さらに使いやすいものを探していくのがおすすめです。
器具選びに正解はありませんが、多様な選択肢を知っておくことで、よりスムーズな手術操作が可能になるでしょう。