「ケラト値って、角膜前面のカーブだけから出してるんでしょ?」
そう思っていませんか?実はそれ、ちょっとした誤解なんです。
一般的なケラト:前面“だけ”じゃない。後面の想定も加味されている
確かに、オートケラトメーターなどが測っているのは角膜前面のカーブのみ。
でもそれに使われている屈折率“1.3375”は、
「後面の平均的な影響を見込んで」設定された擬似的な屈折率なんです。
つまり、正確に言えば:
ケラト値 = 前面の実測カーブ + 後面の想定的な補正
前面しか測っていないけれど、後面がゼロとして扱われているわけではありません。
あくまで“平均的な眼”を前提にした「見かけ上の合算値」なんです。
トータルケラトメトリー(TK):前後面ともに“実測”
一方、IOLマスター700などのTK(トータルケラトメトリー)は違います。
- 前面のカーブ
- 後面のカーブ
- 角膜厚
これらをすべて実測し、リアルな角膜の屈折力を算出します。
TK = 前面の実測値 + 後面の実測値
つまり、ケラトとTKは「合算っぽい値」か「本当の合算値」かの違いなんですね。
→[【徹底比較】OA-2000Comfort vs IOLマスター700|白内障手術における光眼軸長測定の最新機種]
CASIAの場合はこう読む
前眼部OCTであるCASIAの表示も参考になります:
表示名 | 内容 |
Keratometry | 前面のみ(一般的なケラトと同じ考え方) |
Real power | 前後面を実測して合算(=TK) |
「Real power」はIOLマスターのTKとほぼ同じ概念ですが、機種による差やアルゴリズムの違いには注意が必要です。
→[前眼部OCT「CASIA2 Advance」の検査項目と表示結果を徹底解説|白内障・ICLに強い理由とは?]
まとめ:ケラトは“前面だけ”じゃない。でも“実測の合算”でもない
ケラト=前面の実測+後面の“想定値”
TK(やCASIAのReal power)=前面+後面、どちらも“実測”
「ケラトは前面だけ」だと思っていた方は、ぜひ一度見直してみてください。
特に術後眼や角膜形状異常がある場合には、TKやリアルケラトの確認が重要です。