トーメー社の前眼部OCT「CASIA2 Advance」には、角膜評価に特化した多彩な専用アプリケーションが搭載されています。
CASIA2Advanceについても別記事でまとめています。→[前眼部OCT「CASIA2 Advance」の検査項目と表示結果を徹底解説|白内障・ICLに強い理由とは?]
中でも注目すべき機能が「フーリエ解析」です。
この機能では、角膜前面・後面・前後面をそれぞれ解析し、角膜形状の特徴を5つのパターンに分解します。具体的な解析内容は以下の通りです。
トポグラフィーとの違いについて疑問に思いました。→[トポグラフィーの“八の字”は何を見てる?フーリエ解析との違いとは]
CASIA2のフーリエ解析で表示される5つのマップ
項目 | 内容 |
Original | 測定された生データ。角膜の高さマップ(Elevation Map)をそのまま表示したものです。 |
Spherical equivalent(球面等価) | 角膜全体の平均的なカーブを示す、基本的な屈折成分。 |
Regular Astigmatism(規則的乱視) | 主に直交方向でのカーブの差。眼鏡で矯正可能なタイプの乱視です。 |
Asymmetry(非対称性) | 上下・左右方向に非対称な角膜形状の成分。円錐角膜などの兆候としても注目されます。 |
Higher order irregularity(高次収差) | 局所的な歪みや不正乱視など、複雑なゆがみを示す成分です。 |
出力されるマップは合計15枚
この5種類のマップが、それぞれ角膜前面・角膜後面・角膜前後面の3部位で作成され、合計15枚の解析マップとして出力されます。
部位ごとの歪みの傾向や、形状異常の検出に役立つ情報が視覚的に得られる点が特徴です。
なお、角膜前面の同様情報に関しては、同社の眼軸長測定装置「OA-2000 Comfort」にも搭載されています。
→[【新機種解説】白内障手術に必須の眼軸長測定器「OA-2000Comfort」とは?従来機種との違いも解説]
まとめ|フーリエ解析は角膜形状の“質”を見極める鍵
CASIA2 Advanceに搭載されたフーリエ解析機能は、角膜の高さ情報を数学的に分解することで、単なるカーブの強さだけでなく、ゆがみの構造的な特徴(規則性・非対称性・高次収差)を視覚化できます。
乱視の性質や病的変化を定量的に評価したいときに、非常に有効な解析手法と言えるでしょう。