白内障手術において使用される多焦点眼内レンズ(IOL)は、ここ数年で大きく進化しており、特に中距離・近距離の見え方にこだわった製品が次々と登場しています。
今回は、HOYA社が新たに発売した「Gemetric Plus」と、従来品である「Gemetric」の違いについてご紹介します。
カタログスペックの違いに加えて、実際の特徴や他社製品との比較ポイントについても解説します。
Gemetric vs Gemetric Plus:スペック比較表
名称 | Gemetric(Toric) | Gemetric Plus(Toric) |
型番 | XY1-G(T2〜6) | XY1-GP(T2〜6) |
加入度数 | +1.75D(中間)/+3.50D(近方) | +1.75D(中間)/+3.50D(近方) |
度数範囲 | +10.0D〜+30.0D | +10.0D〜+30.0D |
インジェクター | プリセット | プリセット |
特徴 | 遠方に光を多く配分 | 近方に光を多く配分 |
各製品の特徴
- Gemetric
遠方視力を優先した設計で、運転や屋外活動を重視するライフスタイルに適しています。遠くの見え方に定評があり、日常生活の中で遠方視が重要な患者さんに適応されることが多いです。 - Gemetric Plus
近方の見え方を強化した改良モデルで、読書やスマートフォンの操作といった手元作業を重視する方に向いています。中距離から近距離にかけての視力バランスを整えたい場合に選ばれる傾向があります。
他社製品との比較
GemetricおよびGemetric Plusは、他社の評判の高い「XY1-SP」と同様のインジェクターを採用しており、挿入時の操作性や安定性にも配慮されています。
これにより術中の扱いやすさが向上し、術者の負担軽減にもつながります。
→[眼内レンズの選び方|よく使われる着色1ピースIOLをメーカー別に比較]
おわりに
多焦点眼内レンズは、患者さんのライフスタイルや希望視距離に応じて選定する時代に入りつつあります。
HOYA社の「Gemetric」と「Gemetric Plus」は、それぞれに明確な特徴があり、適応を見極めることで術後満足度を高めることができます。
また、片眼に「Gemetric」もう片眼に「Gemetric Plus」を遠近のバランスが良くなるケースもあり、片方が優れているものではありません。
眼内レンズ選びの参考として、ぜひ本記事の内容をご活用ください。