白内障手術において、眼内レンズ(IOL)の度数決定は術後視力に大きく影響します。そのために欠かせないのが「眼軸長測定」です。
トーメー社の光学式眼軸長測定装置「OA-2000」は長年高い評価を得てきましたが、このたび新機種「OA-2000Comfort」が発売されました。今回はその特徴と、従来機種との違い、連携可能なオプションについて解説します。
光眼軸長測定とは?
眼軸長とは、角膜頂点から網膜までの距離のこと。白内障手術に使用する眼内レンズの度数は、この眼軸長を元に計算されます。
かつては超音波を用いた測定が一般的でしたが、現在は非接触かつ高精度な光眼軸長測定が主流です。特にスウェプトソース光源を採用した機器は、軽度の白濁でも測定が可能で人気があります。
OA-2000Comfortの特徴と進化点
「OA-2000Comfort」は従来の性能を踏襲しつつ、さらなる高機能化が図られています。主な進化点は以下の通りです。
- 部位別眼軸長測定:角膜・水晶体・硝子体の長さを個別に測定可能。より詳細な眼球情報が得られます。
- ケラトQS機能:レーシック術後や円錐角膜など、角膜形状異常のリスクを自動で検出。
- フーリエ解析機能:球面、正乱視、非対称、そして高次不正乱視の4成分に分離して角膜形状を解析。
従来機種(OA-2000)のスペック

※画像から公式ページを確認できます。
モデル | OA-2000 |
検査項目 | ・眼軸長(AL) ・角膜曲率半径(K) ・前房深度(ACD) ・水晶体厚(LT) ・角膜厚(CCT) ・瞳孔径(PD) ・角膜径(WTW) ・角膜トポグラフィー |
計算式 | ・SRKⅡ/SRK-T/Hoffer-Q/HOLLADAY1/HAIGIS standard/HAIGIS optimized/SRK昭和大修正式 ・Double K SRK-T/Shammas-PL/OKULIX(レーシック術後眼対応式) |
オプション | ・Ballett式 ・ Axial Manager ・AL-4000+AL-1200 ・CASIA2Advance |
オプションおよび連携可能機器
Barrett式計算式
- Barrett Universal II
- Barrett True K(レーシック術後対応)
より高精度なIOL度数計算が可能になります。
Axial Manager

引用:株式会社トーメーコーポレーション ホームページ
眼軸長などの継時変化をグラフ表示し、経過観察や術前評価に便利です。
AL-4000+AL-1200(超音波測定用)
光眼軸長測定が難しいケースで活躍。OA-2000と無線連携してIOL計算が可能です。
CASIA2 Advance(前眼部OCT)

引用:株式会社トーメーコーポレーション ホームページ
前眼部OCT装置と連携し、OA-2000で取得した眼軸長データを自動転送。検査効率が向上します。
→[前眼部OCT「CASIA2 Advance」の検査項目と表示結果を徹底解説|白内障・ICLに強い理由とは?]
まとめ
「OA-2000Comfort」は、従来の高精度測定に加え、角膜評価機能や異常検出機能が大幅に強化された光学式眼軸長測定装置です。
Barrett式などの高度なIOL計算式にも対応しており、白内障手術前の精密な術前検査を支える新しいスタンダードになるでしょう。